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臨床実習

臨床実習でのスーパーバイザーによるパワーハラスメントについて

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理学療法士の臨床実習では,学生とスーパーバイザー(実習指導者)の人間関係に問題が生じることがあります。
パワーハラスメント(以下,パワハラ)などです。

明らかなパワハラがあれば,すぐに実習施設を変えればいいので,学校としての対応はある意味で簡単です。
もちろん,学生には大きな不利益が生じますが。
困るのは,パワハラというほどではないけれど,嫌がらせの要素があり,効果的な指導にもなっていないという状況です。
こういう状況は実習に限らず,世の中に蔓延しているのではないかと思っています。
実習施設を変えるということは,現実的には不可能で,なんとか乗り切るしかないとう辛い実習に陥りがちです。

この記事では,世間ではパワハラとは認定されないものもひっくるめてパワハラとし,そのパワハラについて書いてみます。

まず,パワハラの原因について,僕の現在の仮説を書いてみたいと思います。
パワハラが生じる原因として2つありそうです。

1.スーパーバイザーが心理的な問題を抱えている
2.指導方法を知らない

今回は,スーパーバイザーの心理的な問題について書きます(指導方法については別の記事で)。

自分がどのように評価されているか?自分は正しいのか?ということに関して強い不安や恐怖がある場合です。
この不安や恐怖は一時的にですが簡単に解消することができます。
誰かを「あなたは劣っている,間違っている」と攻撃すればいいのです。
攻撃している間は,自分は優れている,正しいと感じることができるからです。
しかし,露骨に攻撃してしまうと,そのことによって自分の評価が下がってしまいます。
だから,指導という形で攻撃するのです。

職場での自分の評価が下がることを恐れているとします。
実習生があまり成長していないと,指導が下手だと思われてしまいます。
そこでどうするか。
学生の能力が低すぎる,学生に問題がありすぎるのであって,自分の指導に問題があるのではないということにしてしまうのです。
これを象徴する言葉が「学生の資質に問題がある」です。
とにかく学生の欠点を指摘し続け,人格に関わるところまで指摘します。
そして,周りのスタッフに聞こえるように指導します。
まさしくパワハラです。

世の中からパワハラがなくなってほしいと願いますが,難しい課題だと思います。
例にあげた,指導能力不足の烙印を押される不安は誰にでもあると思います。
そして,その不安を解消するための攻撃を,誰でも多少はしてしまっているのではないでしょうか?
僕はあります。
ちょっと油断すると,すぐにパワハラになってしまいます。
でも,不安や恐怖が増長しないようにすれば,多少パワハラの要素がでてしまってもなんとかなりそうです。

不安や恐怖を増長しているのは何か?
直観ですが,職場の雰囲気ではないでしょうか?
パワハラを行うスーパーバイザーがいる職場は「空気」がよくないんです。
不安や恐怖に押しつぶされそうになっている人に対して冷たい。
助け合う雰囲気もない。

パワハラを行うスーパーバイザーは排除する対象ではなく,手を差し伸べなければならない対象です。
そして,パワハラはスーパーバイザーや実習生の資質の問題ではなく,職場の問題なのだと思います。
これが,今回の記事の結論です。

さて,最後にパワハラに悩んでいる実習生へのアドバイスを試みてみましょう。
個別の状況を知らないので,効果的なアドバイスなんてできません。
信頼できる教員に相談するのが一番かと思いますが,僕の経験談を書きます。
実習でスーパーバイザーにネチネチと怒られていた時,僕は突然思いつきました。
「担当症例に関して言っている事だけを聞けばいい,怒っているのはこの人の心の問題だ」と。
急に楽になりました。
謙虚な姿勢は大切ですが,これは自分の問題ではないという考えも大切です。
そして,精神医学を習っているから分かると思いますが,本当に辛くなったら受診しましょう。
僕も受診して助けてもらいました。

2018年10月20日

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