デルマトーム 最低限覚えておきたいところ

デルマトーム dermatomes(皮膚分節)とは,単一の脊髄神経根あるいは脊髄分節によって支配されている皮膚領域のことです。

リハビリテーションでは必須の知識ですが,全て覚えるのは大変です。
そこで,学生が初めて勉強するときに最低限覚えておきたいところをピックアップしてみました。

デルマトーム図は30種類以上もあり1),境界線は図によって少しずつ異なります。
今回は,理学療法士が使う機会のある,ASIA機能評価尺度の Key sensory point1)から引用します。

最低限覚えておきたいところ

C2 : 外後頭隆起の少なくとも1cm外側,あるいは耳の3cm後方でもいい

一番端はC2で,C1に感覚枝はないようです。
後頭部と覚えてもいいでしょう。

C7 : 中指基節骨背側

T4 : 鎖骨中線上の第4肋間隙で乳頭の高さ

T10 : 鎖骨中線上で臍の高さ

L4 : 内果

S4/5 : 肛門周囲1cm以内の領域で粘膜皮膚移行部の外側

ややこしい表現ですが覚えるときは肛門でいいでしょう。
一番端は足先ではなく肛門です。

まとめると,「C2 : 外後頭隆起,C7 : 中指,T4 : 乳頭,T10 : 臍,S4/5 : 肛門」です。
これだけでは不十分ですが,まず最初の一歩として丸暗記するのはこれくらいの量がいいでしょう。

並び方

並び方を理解していれば,全て暗記していなくても,覚えているところよりも頭側か尾側かで推測することができます。
デルマトーム図は立位(解剖学的立位)がほとんどで,それでみるデルマトームは規則正しく並んでいないように見えます。
しかし,四つ這い位にしてみると頭尾方向に数字の順番でほぼ帯状に並びます。

上肢のデルマトームの発生

上肢のデルマトームは複雑な並び方をしているように感じられますが,受精卵からの発生の過程から考えるとすっきりします。

多細胞生物の基本形はチューブ型(ちくわ型)で,その場合,デルマトームは数字の順番できれいに並びます(図1)。

図1

次に上肢になるところが膨らんできます(図2)。

図2

C7とC8が移動していくのに伴い,C6とT1が近づいていきます(図3)。

図3

どんどん伸びていき,C7とC8が端にいき,C6とT1がひっつきます(図4)。

図4

そして,上肢のデルマトームは図5のようになります。

図5

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参考文献

1)下津浦宏之, 井上聖啓: デルマトーム図. 脊髄外科. 2012; 26: 147-161.
2)https://asia-spinalinjury.org/wp-content/uploads/2016/02/Key_Sensory_Points.pdf(2020年3月4日引用)
3)越智淳三(訳):解剖学アトラス(第3版). 文光堂, 2001, pp421.

2020年4月15日
2020年3月4日

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