頑張れ!について歌いながら考えてみた

医療・福祉の世界では,「頑張れ!」などと簡単に言ってはいけないというのは常識となっています。
でも,その理由については説明しづらいというの正直なところです。

そこで,「頑張れ」が出てくる歌を通して,私の思いを書いてみたいと思います。

頑張れなんて言うなよクソが
死に物狂いで生きてんだ
そう簡単に言わないでおくれ

風のささやき by あいみょん

死に物狂いで生きているということは,もうすでに相当頑張っているということです。
頑張っている人に頑張れと言うことは,今の頑張りは頑張りではないと言っていることになり,相手の頑張りを否定することになります。
言われた方は「もう無理,もうこれ以上頑張れません」となります。

優しい励ましの言葉さえ
つらい時もあって
心 閉ざした
笑顔を返さなきゃいけないと
また頑張って 疲れていく

wish 〜 キボウ by 藤田麻衣子

励ましてもらったら,笑顔を返さなきゃいけないのでしょうか?
励ましてもらえたら嬉しい,それだけでいいはずです。

励ます人は相手が元気になることを期待しています。
励まされた人は期待に応えようとします。
では,なぜ期待に応えようとするのでしょうか?
それは,励ましてくれた人をがっかりさせたら,その人に見捨てられると不安になるからです。
でも,元気になれず,不安が増してさらに落ち込んで行きます。

励ます方も,純粋に相手に元気になってもらうことだけを願っていることは稀です。
人を励ますことができる人だと思われたいという気持ちがあったりします。
ここにも,いい人だと思われないと社会から見捨てられてしまうという不安があります。

不安を抱えている者同士が,不安を増幅しあう構図です。
そういう関係の中での「頑張れ」では頑張れません。

ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう
ファイト! 冷たい水の中をふるえながらのぼってゆけ

ファイト! by 中島みゆき

この歌の頑張れ(ファイト)に対して,「そう簡単に言わないでおくれ」と思う人は少ないのではないでしょうか?
その理由はもちろん,中島みゆきだからなのですが,もうちょっと考えてみたいと思います。

頑張れという言葉の裏には,「頑張っていい結果を出さないと承知しないよ」とか「負けたらカッコ悪いよ」というメッセージが隠れていることがあります。
頑張れは,負けを否定する言葉なのです。

でも,中島みゆきのファイトは否定していません。
「光ってるのは傷ついてはがれかけた鱗が揺れるから」という歌詞もあるのですが,それは,キラキラしているのは勝っている人や成功している人だけではないということだと思います。
「闘う君」ですから,頑張っていないとは言っていません。
「闘わない奴等」は笑ってあなたを否定するかもしれないけど,闘っている人はあなたを否定しないと歌っているのだと思います。

やさしさだけじゃ
人は愛せないから
ああ なぐさめてあげられない
期待はずれの 言葉を言うときに
心の中では
ガンバレって言っている
聞こえてほしい あなたにも
ガンバレ!

人にやさしく by The Blue Hearts

作詞はボーカルの甲本ヒロトです。

歌としては「ガンバレ」と叫んでいますが,歌詞としては,ガンバレと言っているのは心の中です。
ガンバレなんて簡単に言ってはいけないという思いが伝わってきます。
冷静に歌詞を読めば,そういうことではないような気もしますが,曲全体としては,中島みゆきと同じガンバレです。

でも
がんばらないけどいいでしょう
私なりって事でいいでしょう
がんばらなくてもいいでしょう
私なりのペースでもいいでしょう

ガンバラナイけどいいでしょう by 吉田拓郎

私は,「頑張れ」と言ってくれる人がそばにいて欲しいとは思いません。
「がんばらないけどいいでしょう」と歌いながら一緒に歩いてくれる人がいて欲しいと思います。

2021年4月6日

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